#3 ストレスも疲れも解消!心と身体に効くランニング

臓器がイキイキするのに最適な運動!

人間が健康的に生活していくためには、体内にしっかり酸素を取り入れる必要があります。脳も、神経も、内臓も、筋肉も、体内に酸素を取り入れなければ正常に働くことはできません。その能力の指標となるのが「最大酸素摂取量」。1分間に、体重1kgあたり、最大で何mlの酸素を取り入れられるかを表したものです。

ある研究によれば、1km7分ペースで移動するような強度の運動(これはゆっくり走るペースです)をしていると、40ml/kg/分の最大酸素摂取量を維持できることがわかっています。運動によって体内の酸素の必要量が高まるため、それを取り入れる能力が鍛えられるというわけです。つまり、ごくゆっくり走るペースは、この酸素摂取量を維持するのに最適な運動ということ。日常生活を過ごしているだけではなかなか得ることができません。この、酸素を身体のすみずみまで行き渡らせ、臓器を活性化させるのに最適である運動であることが「走ると身体にいい」という理由のひとつなのです。

疲労を軽減するホルモン、エンドルフィン

また、長く走っていると、脳からエンドルフィンというホルモンが分泌されます。このエンドルフィンは、麻薬のような働きをすることが知られており、疲労感などに対しては、それを麻痺させる作用を持っています。

そのため、走り始める前に疲労感があった場合でも、走っているうちに疲労を感じなくなったりするのです。また筋肉痛や関節の痛みも、走っているうちにだんだん軽くなることがあります。これもエンドルフィンの作用です。

しかし、エンドルフィンによって疲労感が軽くなったり、痛みが消えたりするのは、実際に疲労や痛みが解消されたのではなく、それを感じなくなるだけのことなのです。過剰に走ってしまうと、走り終わってからいっそうひどい疲労感や痛みに襲われることになります。

ランニングで疲労感がとれる他の理由としては、走ることで乳酸などの疲労物質が取り除かれるためでしょう。激しいトレーニングやレースの後などは、筋肉に疲労がたまっています。そんな時は、じっとしているより、軽いランニングを行って血液循環を良くしたほうが、疲労物質を速やかに取り除くことができるのです。走った後はクーリングダウンで軽く流しておくのも、疲労物質がたまるのを防ぐためです。

走ることでストレスは解消される

そして心の疲れ・ストレスに対してもランニングは大きな効果を発揮します。現代社会を生きていく以上、ストレスは避けて通れませんが、走ることで心身が解放され、体内に新しいエネルギーが満ちていくのが感じられるでしょう。

以下、ランニングがストレス解消になるという説をいくつか紹介します。

[エンドルフィン説]

長く走り続けることによって、麻薬によく似た鎮痛作用のあるホルモン(エンドルフィン)が脳で分泌され、その作用によってランナーが快適な気分になれる。「ランナーズ・ハイ」とも言われる。

[瞑想説]

ランニングのように単調な動きの結果、瞑想のようにリラックスした意識状態になれる。

[体温上昇説]

ランニングをすると体温が上昇し、鎮痛効果が得られる。

[気晴らし説]

ランニングは、不快な認知、感情、行動から気をそらせてくれる。

[支配感説]

運動によって体力が高まると、自分自身をコントロールできているという支配感、制御感、充足感を覚える。

さらに、定期的に運動している人は心理的ストレスから身体を守るためのリカバリーがうまく働く、という実験結果もあります。酒やタバコでストレス解消という人も多いでしょうが、いずれも一時的に嫌なことを忘れる作用しかありません。

なお、走った後のケアとして、ストレッチングをした後は、音楽を聴くなどしてリラックスすると、さらにストレス解消の効果も上がります。もちろん、走っていてより爽快になれるコースを選ぶのも効果的でしょう。

(出典:RUNNET)